痛くない・よく効く歯医者での麻酔のポイント
歯科医院での麻酔というと、誰もが嫌なイメージを浮かべると思います。
今回は患者様の麻酔に対する恐怖への配慮や根本的な痛みを出来るだけ取り除く方法など、私たちYard Dental Clinicの歯科診療における浸潤麻酔への日頃の取り組みについて解説していきます。
1. 表面麻酔(事前麻酔)の徹底
:針の刺入時の痛みを出来るだけ最小限に抑えるため、歯茎の表面にジェルタイプの麻酔を塗布してから通常の浸潤麻酔を行う2ステップを採用しています。
2. ゆっくりと少しずつ注入する
:一気に注射を行うとその圧力で痛みが出やすいため、麻酔薬を出来るだけゆっくりと丁寧に時間をかけて注入していきます。
3. リラックスした状態をつくる
:私たちの考えとして、歯科診療において患者様がリラックスしていることは、器具や方法の選択などの何より治療をスムーズに適切に行うために重要です。これは麻酔においても同様で、患者様が院内に入ってきた時からの緊張がほぐれるよう空間や音楽にこだわり、またドクターやYardメンバーが程よいコミュニケーションやホスピタリティを心掛け、快適な環境の提供に努めます。
4. 適切な薬剤と針の選択
:一般的にリドカイン(オーラ注)やプロピトカイン(スキャンドネスト)などの局所麻酔薬が使用されます。患者様のアレルギー歴や過去の経験に基づいて、最適な薬剤を選択します。また一般的に使われる注射針は30G(太い)と33G(細い)とがあり、Yardでは基本的に33Gの細い注射針を採用しています。
5. 注射技術
:歯科医師による正確な注射技術が非常に重要です。針の向きや刺入する方向・速度など、どの歯(部位)にどれだけ麻酔を効かせたいかを治療前にシュミレーションし、その都度技術と思考を掛け合わせて麻酔を行います。近年では電動注射器が開発されていますが、Yardではドクターの繊細な職人技術による麻酔方法が最も痛みをコントロールできると考えており、電動注射器は導入しておりません。
6. 適切な注射場所
:目標とする歯や治療箇所に最も近い適切な場所に麻酔を注入することが重要です。その部位の解剖学的特性を理解することも重要で、基本的には歯肉頬移行部のやや下方と歯間乳頭部の2ヶ所を刺入点とし、治療内容や部位によってどこに刺入・麻酔を行うかを選択します。
7. 適切な量の麻酔薬
:患者様の体重や年齢、治療箇所の大きさなどに基づいて、適切な量の麻酔薬を計算し、注射する必要があります。
8. 麻酔の効果を確認する
:注射後、麻酔の効果が十分に現れていることを確認するために、適切な待ち時間を設けることが重要です。治療を開始する前に、患者様に麻酔の効果や心が快適であるかどうかをしっかりと確認します。
9. 副作用や合併症の監視
:麻酔後、患者様の状態を適切に監視し、副作用や合併症が発生した場合でも適切な対処を行えるよう準備を怠りません。
歯科麻酔のポイントまとめ
- 事前準備を最大限に
患者様の緊張をほどき、あらゆる角度から気配りをする
- 浸潤麻酔の知識と技術の研鑽
痛みのない麻酔方法・歯や骨の解剖学的特性を十分に理解した上で、治療毎に臨機応変に術式を選択する
- 麻酔後の配慮
患者様の気分や状態を気遣い、治療前に麻酔が十分に奏功していることを確認する