歯科の未来を切り開く:ミニマルインターベンションの重要性について解説!
『歯をできるだけ削らないこと』
これは、私たち医者側でも患者側でも、治療において常に共通の指針であり目標でもあります。
そこで重要となるのがミニマルインターベンション(MI)という概念です。
この考え方は、2002年に国際歯科連盟(FDI)によって提唱されたもので、直訳すると最小限の侵襲(Minimal Intervention)を意味します。
そして2016年にはMID(Minimal Intervention Dentistry)に改定され、う蝕(虫歯)予防に関する具体的な行動目標が提示されました。
FDIから発表された、う蝕予防のためのMIDの定義について、一部抜粋して解説していきます。
参考 : https://www.fdiworlddental.org/minimal-intervention-dentistry-mid-managing-dental-caries
- early detection of carious lesions and assessment of caries risk and activity
: う蝕病変を早期に発見し、う蝕リスクと活動性を評価する
- remineralisation of demineralised enamel and dentine
: 脱灰エナメル質と象牙質の再石灰化を促す
- optimal measurements to keep sound teeth sound
: 健全歯質を最大限に保存する
- tailor-made dental recalls
: テーラーメイド型のメインテナンスを実施する
- minimally invasive operative interventions to ensure tooth survival
: 歯の寿命を重視した、最小限での修復処置を実践する
- repairing rather than replacing defective restorations
: 欠陥のある修復物は、再修復よりも補修を検討する
MIDの要点
- 初期う蝕の検出
- 再石灰化の推進
- う蝕リスクの管理と活動性の定性的・定量的評価
- 検査・診断・治療方法の多様化と低侵襲化
そのメリットとは?
MIDの採用には、患者と医者側の双方に多くのメリットがあります。患者にとっては、痛みや削る量が少なく、また型取りの必要が無くなるなど、より負担の少ない治療が受けられます。そして長期間な歯の健康維持が期待できます。
一方、歯科医にとっては、無駄な侵襲を避けることでより効率的な治療プランの立案が可能になり、患者の満足度が向上します。
実践
MIDの実践には、さまざまな手法や治療が含まれます。例えば、フッ素塗布や歯石の除去などの予防的なアプローチがあります。また、予防的なシーラントの使用や、定期的な歯科検診とクリーニングも、MIDの一環として重要です。
これらのアプローチにおいて重要となるのが、治療だけでなく無駄な検査や診断を減らすという考え方です。過剰かつマニュアル通りの検査や診断を行わず、定期的なメインテナンスや個々のリスクを踏まえてテーラーメイドなアプローチを取ることで、徹底的にオーバートリートメントを防ぎます。
まとめ
MID(ミニマルインターベンション)は、歯科医療の未来を切り開く革新的なアプローチです。歯の健康を維持し、治療の必要性を最小限に抑えることを目指すこの手法は、患者と歯科医双方に多くのメリットをもたらします。今後もMIDの研究と実践が進み、歯科医療の質と効率性が向上することが期待されます。
Yardでは、虫歯治療におけるマニュアル化した麻酔や型取りを推奨しておらず、出来るだけ低侵襲で削らずに短期間で終えることができる治療を積極的に取り入れています。
治療方法についてお悩みの方は、下記より一度お問い合わせください。